インドネシア・ジャワ島西ジャワ州バンドンには貧困地域が多く含まれている。バンドンの山間部にあるランチャセガング地域は、水道などのライフラインが充実されていない極度の貧困地域であり、地域全体が荒廃山林で、村民のほとんどは小作農を営みながら生活している。食品廃棄物や家畜排せつ物についての現代的な処理方法が知られていないため、垂れ流し状態にあり、異臭や伝染病の原因にもなっており、村人や子どもたちの生活環境や教育環境を大きく損なっている。 本プロジェクトは、ランチャセガング地域のごみ問題の解決を目的に、日本側のボランティア及び教育機関を中心としたグループ、インドネシア側のボランティア及び教育機関を中心としたグループ、そして現地の小学校を拠点とした児童と村人という3者が協力して、「バイオマス利用(ごみの再利用)」という循環型社会形成の構築を目指した実践活動を実施する。
今年度は、ランチャセガング地域にあるブディ・ラハユ小学校を拠点として、当会とインドネシア・バンドン地区の農業指導者、小学校教員、そして現地のボランティアグループ、村人とでチームを編成し、村(戸別)の廃棄物・排泄物の管理・処理の実態調査を行なった。 また、村の小学校の敷地にバイオマスを利用した学校農園を設置するため、日本及びインドネシアのボランティア、地域住民と協力して、農園運営のための井戸の掘削と農園の整備を実施した。活動をインターネットで広く報告し、本プロジェクトへのスタディーツアーを募集したところ、日本の大学生・院生4名とインドネシアの大学生8名が参加し、現地の村人と交流しながらバイオマス農園の整備を行った。 調査結果などをもとに、視覚的要素を多く取り入れた、バイオマス利用と循環型社会形成に向けての平易なマニュアルを作成した。
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本プロジェクトでは、貧困ゆえにバイオマスについての知識をもっていなかった村人を、バイオマス学校農園の整備や井戸の掘削等の過程でのべ約130人雇用することができた。作業のなかにミーティングを組み込むなどの工夫をした結果、バイオマスにおいてゴミは資源であるという意識変化が見られた。また、日本やインドネシア都市部からの大学生、ボランティアとの協働作業のなかで、環境の保護・向上に関するさまざまな質問や意見が多く出され、住民の問題解決意欲の高まりがみられた。調査及び活動の過程において、インドネシアでは、文字よりも視覚的な要素から情報を容易に習得する人々が多いことに気づき、今後の活動に向けて、分かりやすい循環型社会形成マニュアルを作成した。 今後も活動を広くインターネットで発信し、持続可能な循環型社会形成に向けた取組みに貢献してゆきたい。
(助成金額:2,300千円)
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